★大動脈解離とは★

2023.10.01

お役立ち情報①

■どんな病気?

先月、大動脈解離でお笑い芸人の笑福亭笑瓶さんがお亡くなりになり話題となりました。 大動脈解離とは、大動脈の血管壁に何らかの理由で亀裂が入り、そこから血管壁の中に血液が入り、別の血液の流れができた状態です。

大動脈の血管壁は、三層構造(内膜・中膜・外膜)になっており、内膜が避けるとそこから血液が流れ込み、中膜が膨らみます。この内膜と中膜の間のふくらみを「偽腔」といいます。その偽腔が本来の血管の流れを阻害し、様々な障害を引き起こす病気です。

■原因は?

ストレス、動脈硬化、高血圧、糖尿病、高脂血症、睡眠時無呼吸症候群、喫煙、先天的な遺伝性疾患などがあります。特に高血圧は重要な危険因子です。

この病気は前兆はなく突然発症します。予測は困難なため、前触れなく胸や背中に激痛があった場合は、すぐに医療機関の受診が必要です。

遺伝性も否定できないため、親類でかかった人がいれば留意が必要です。また、仕事上ストレスがたまる方も注意した方が良いです。

■症状は?

最も特徴的な症状は、突然起こる胸痛あるいは背中への痛みです。しかも激痛です。解離が進むにつれ胸や背中だけでなく様々な箇所に移動する場合があります。大動脈基部で解離が起きると、大動脈弁閉鎖不全症から呼吸困難や急性心不全などが起こります。大動脈弓部に偽腔が及ぶと、大動脈弓部から出る血管をふさぎ脳への血流がさえぎられ、意識消失や麻痺がおこります。その他にも様々な箇所で血流阻害による症状が出てきます。

発症後放置すると、24時間では3割、1週間では8割以上が死亡するといわれています。

■治療法は?

スタンフォードA型、スタンフォードB型に分類し、それぞれの治療法があります。

スタンフォードの分類とは

 スタンフォードA型:上行大動脈に解離があるもの

 スタンフォードB型:上行大動脈に解離がないもの

スタンフォードA型の場合急死に至る合併症を生じやすいため、緊急手術の対応となります。

スタンフォードB型の場合でも、大動脈が破裂していたり、各臓器への血流不足があるときは手術などの対応となります。

緊急性が高くないものは、薬物治療を行いながら経過観察をしていきます。

■予後は?

手術後も、手術した部分以外はまだ解離の状態で残っています。そのため乖離が拡大し破裂しないように、日々の血圧管理をしっかりと行わなければなりません。また病院への定期的な経過観察も必要です。もし血管に残っている解離がひろがっていれば、再発する前に手術をすることがおすすめです。

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